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ルポ貧困大国アメリカ
岩波新書 堤未果著




 目次
プロローグ
第1章 貧困が生み出す肥満国民
第2章 民営化による国内難民と自由化による経済難民
第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々
第4章 出口をふさがれる若者たち
第5章 世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」

 本書はアメリカの負の側面にスポットライトを当てている。暴走した資本主義の結果、貧困にあえぐマイノリティーや中流層の現状を、追いやられる人々の肉声を通して、その現状を記している。。急激に進む社会階層の変化がアメリカで起こっている。それは、中流層が中抜きされ、富めるものはさらに富み、貧しいものはさらに貧しくなると言う2極化の構図である。現在、アメリカ社会では、貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層への道を転がり落ちている。なぜ、このような2極化が進んでいるのか、著者はその原因を過度な「民営化」や貧しいものを食い物にする「貧困ビジネス」にあると結論づける。特に、これは戦争ビジネスや医療において顕著である。アメリカの貧困問題を浮き彫りにする例として、(1)サブプライムローンと(2)子供の肥満を取り上げる。

(1)サブプライムローンとは、社会的に信用度が低い層に向けられた住宅ローンである。その利率はプライム(優良顧客)と比べ非常に高く設定されている。最初の2、3年は利子が低く抑えられ、その後、利率は急激に跳ね上がる。ほとんどの債務者は途中で払い切れなくなり、途中で家を追い出される。私が説明するまでもないが、世界を騒がせた金融危機を引き起こした原因である。サブプライムローンへの加入を勧める金融マンの語り口は実に巧妙である。低所得者層に、家を持つ権利があるはずであると、夢を語り、返せるはずもない住宅ローンを組ませる。その際、営業マンは詳細な説明をせずに契約を成立させてしまう。なぜかというと、低所得者層には英語の出来ないヒスパニック系が多くあまり説明をしなくても契約出来てしまうからである。リスクに無防備な低所得層の人々を商品として市場原理に組み込んだ結果、株式市場の大パニックを引き起こし、人々には家を失わせ、借金だけを残すという悲惨な状況を引き起こした。

(2)実は、アメリカでは貧困に属する児童に肥満が多い。貧困児童の教育レベルの低さと肥満度は比例している。なぜか、理由は2つある。

 第一に、貧困層の家庭は食事をフードスタンプに頼り、毎日の食事が安くて調理の簡単なジャンクフードやファストフード、揚げ物中心になる。受給者のほとんどの家には調理器具がなかったり、キッチンそのものがなかったりする。となると、できるだけ調味料も調理器具も使わずに、少ない予算でおなか一杯になるものと考えると、選択肢は限られる。また、貧困層の受給者たちの多くは栄養に関する知識も持ち合わせておらず、生き残る為に高カロリーな食べ物をフードスタンプを使って買う。日常的食事として不健康なジャンクフードを食べるという選択は貧困層にとって、合理的選択なのかもしれない。その当然の帰結として、カロリーが必要以上に高い食事をとる子供は肥満になる。
 
 第二に、給食がジャンクフードのオンパレードであることである。ハンバーガーにピザ、マカロニ&チーズにフライドチキン、ホットドッグなどとても子供たちの健康を配慮して作られたメニューであるとは思えない(これは、日本では考えられないことである)。ニューヨークでは、190万人のうちの4分の1が貧困児童であり、その3分の2が学校の無料ー割引給食制度に登録している(裕福な家庭の子供は親が作った低カロリーで健康的なランチを食べる)。学校側は予算がないので、安価でカロリーが高く、調理の簡単なジャンクフードにどうしても頼ってしまう。また、学校給食という巨大マーケットをねらうファーストフード・チェーンも多い。政府の援助予算削減にともない、全額無料では提供しきれずにマックやピザハットなどの大手と契約する学校も増えている。

 日本に住んでいると、アメリカはとても理想的な国に見える。経済、エンターテイメントなどどれをとっても一流のものが多いので、そう思うのも無理もない。しかし、本書を読む限りそうでもないことがわかる。なぜなら、日本で報道されることはアメリカ社会の表面的なことにすぎないからだ。むしろ、経済、政治が上手く機能すれば日本の方が理想的な国にも思える。アメリカは良くも悪くも巨大な国である。盲目的にこの国を見るのでなく、批判的な思考を持ち、良いところは取り入れ、悪いところは受け入れないといった姿勢を持つことが大事なように思える。

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CCT(条件付き現金給付)は貧困者を救うのか?
『格差社会』1~書評16~
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