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廃墟


「業界をリードしていた企業が、ある種の市場や技術変化に直面したとき、なぜ、その地位を守ることに失敗するのか?」

 本書はその問いに答えてくれる大著です。競争の感覚を研ぎすまし、顧客の意見に注意深く耳を傾け、新技術に積極的に投資し、市場感覚に優れた優良企業が、どうしてその地位を守れないのか? ハーバード・ビジネス・スクールの教授である著者は、この逆説的なコンセプトを学問的体系に基づいた緻密な論理構成によって実証しています。また、ディスク・ドライブ、掘削機、ホンダが進出した北米市場、そして、インテルが支配したマイクロ・プロセッサ市場など豊富な事例をもとに理論を説明します。著者は理論を説明するだけでなく、大企業がイノベーションのジレンマから逃れる方法も提示しています。


『イノベーションのジレンマ』
Harvard business school press クレイトン・クリステンセン著





失敗した企業の共通点
 技術変化やマーケットニーズの変化により、業界トップの座を失った企業は多い。しかし、失敗につながる決定を下した時点では、そのリーダーは世界有数の優良企業の経営者として広く認められていました。つまり、経営は優れていたが、成功している間の意志決定の方法に、後々失敗を招く何らかの要因があったということです。したがって、優れた経営こそが業界リーダーの座を失った最大の理由となります。これらの企業は、顧客の意見に耳を傾け、顧客が求める製品を増産し、改良するために新技術に積極的に投資し、市場の動向を注意深く調査し、体型的に最も収益率の高そうなイノベーションに投資配分したからこそ、リーダーの地位を失ったのです。

 一見、失敗の要因があるようには一切見えないが、なぜ、これらの優良企業は変化に追いつけず、市場から除け者にされたのだろうか?それは、広く認められている優良経営の原則の多くが、特定の状況にしか適さないからです。多くの優れた経営手法は水物なのです。ある特定の状況、時代でしか通用しないことが、ほとんどだからです。企業の成功のために重要な、論理的で正しい経営判断が、企業がリーダーシップを失う要因になります。これこそ、まさにイノベーターのジレンマです。

 この失敗の理論は、著者の三つの発見に基づいて構築されています。

(1)「持続的」技術と「破壊的」技術の間には戦略的に重要な違いがある

(2)技術の進歩のペースは、市場の需要が変化するペースを上回る可能性があり、実際そのようなケースが多い。このため、いくつかの市場における技術アプローチの関係性や競争力は時間とともに変化する場合がある。

(3)成功している企業の顧客構造と財務構造は、ある種の新規参入企業と比較して、その企業がどのような投資を魅力的と考えるかに重大な影響を与える。


 (1)製品の性能を高めるものを「持続的技術」と呼びます。「持続的技術」は、主要市場の主な顧客が今まで評価してきた性能指標にしたがって、既存製品の性能を向上させます。これに対して、少なくとも短期的に製品の性能を引き下げる効果を持つのが「破壊的技術」です。大手企業を失敗に導いたのはまさにこの「破壊的技術」です。 「破壊的技術」は従来とは異なる価値基準を市場にもたらします。一般的に、破壊的技術の性能が既存製品の性能を下回るのは、主流市場での話です。しかし、「破壊的技術」は従来の顧客と異なる新しい顧客に評価されることが多く、「破壊的技術」を利用した製品はシンプル、小型で、使い勝手が良い場合が多いのです。

 (2)技術革新のペースが、ときに、市場の需要のペースを上回るため、企業が競争相手より優れた製品を供給し、価格と利益率を高めようと努力すると、市場を追い抜いてしまうことがあります。この場合、たいして高品質の製品を求めていない顧客へ必要以上の価値を提供してしまい、顧客を置いてけぼりにしてしまう可能性があります。また、「破壊的技術」の性能は、現在、市場の需要を下回るかもしれないが、明日には十分な競争力をもつ可能性がある。

 (3)安定した企業は「破壊的技術」に投資するのは合理的でないと判断します。それには三つの根拠があります。第一に、破壊的製品の方がシンプルで低価格、利益率も低いのが普通である。第二に、破壊的技術が最初に商品化されるのは、一般に、新しい市場や小規模な市場である。第三に、大手企業にとって最も収益性の高い顧客は、破壊的技術を利用した製品を求めない。破壊的技術は、最初、市場で最も収益性の低い顧客に受け入れられる。そのため、最高の顧客の意見に耳を傾け、収益性と成長率を高める新製品を見いだすことを慣行としている企業は破壊的技術に投資する頃には、すでに手遅れである場合がほとんどである。


新規参入企業と実績ある企業の成功と失敗を分ける原因はどこにあるのだろうか?
 その中心となるのはバリューネットワークという概念です。企業はこの枠組みの中で顧客のニーズを認識し、対応し、問題を解決し、資源を調達し、競争相手に対抗し、利潤を追求します。バリューネットワークのなかでは、各企業の競争戦略、とりわけ過去の市場の選択によって、新技術の経済的価値をどう認識するかが決まる。各企業が、持続的イノベーションや破壊的イノベーションを追求することによってどのような利益を期待するかは、この認識によって異なります。実績ある企業は、期待する利益のために、資源を持続的イノベーションに投下し、破壊的イノベーションには与えない。このような資源配分の仕方が、実績ある企業が持続的イノベーションでは常にリーダーシップを取り続け、破壊的イノベーションで敗者となった要因です。

バリューネットワークの理論がイノベーションに対して持つ5つの意味

(1)企業が競争する環境、つまりバリューネットワークはイノベーションを妨げる技術的、組織的障害を克服するために必要な資源や能力を集約する能力に影響を与える。バリューネットワークの境界を定めるのは、製品の性能に対する独自の評価である。つまり、周知の業界の最終利用システムで採用されている性能指標とは別の、いくつかの性能指標の順位付けによって決まる。バリューネットワークを定めるもう一つの要因は、ネットワーク内の顧客ニーズへの対応に伴うコスト構造である。

(2)イノベーションにおける商業的な成否を決定する要因は、バリューネットワーク内の関係者のニーズにいかに対応できるかどうかである。

(3)技術によって実現できる性能向上の奇跡は、下位のバリューネットワーク内の顧客が最終利用システムに対して求める性能向上の軌跡とは、明らかに傾きが異なる。これらの二つの軌跡の傾きが近ければ、その技術は概ね当初のバリューネットワークの中にとどまると考えられる。しかし、傾きが異なる場合、当初は新しいバリューネットワーク、あるいは商業的にかけ離れたバリューネットワークの中だけで性能競争力をもっていた新技術が、ほかのネットワークに浸食してくる可能性があり、新しいネットワークのイノベーターにとって、既存のネットワークを攻撃する手段になる。このような攻撃が起きるのは、技術の進歩によって、二つのバリューネットワーク間の性能指標の順位付けに違いがなくなるためである。

(4)確立された技術の軌跡における進歩の水準、速度、方向などを破壊し、塗り変えるようなイノベーションについては、実績ある企業より新規参入企業の方に攻撃者としての優位性がある。これは、そのような技術が、確立されたネットワークのなかでは価値を持たないためである。

(5)「攻撃者の優位」が破壊的イノベーションに関連していることは確かだが、攻撃者の本質は、既存企業より新規参入企業のほうが、新しい用途の市場、つまり新しいバリューネットワークを攻撃し、開発するための戦略を見きわめ、立案しやすいことにある。したがって、本質的な問題は、実績ある企業が新規参入企業に比べて、いかに柔軟に技術でなく、戦略とコスト構造を革新できるかどうかである。


では、大企業はどのように破壊的イノベーションへ対応すればいいのか?

 組織の性質に関する五つの基本原則があります。それは、以下です。

(1)資源の依存。優良企業の資源配分のパターンは実質的に、顧客が支配している。

(2)小規模な市場は、大企業の成長需要を解決しない。

(3)破壊的技術の最終的な用途は事前に分からない。

(4)組織の能力は、組織内で働く人材の能力と関係ない。組織の能力は、そのプロセスと価値基準にある。

(5)技術の供給は市場の需要と一致しないことがある。確立された市場では魅力のない破壊的技術の特徴が、新しい市場では大きな価値を生むことがある。


 以上の要因を踏まえ、成功した経営者は、これらの原則を以下のように自社の優位に役立てた。

(1)破壊的技術を開発し、商品化するプロジェクトを、それを必要とする顧客を持つ組織に組み込んだ。経営者が破壊的イノベーションを「適切な」顧客に結びつけると、顧客の需要により、イノベーションに必要な資源が集まる可能性が高まる。

(2)破壊的技術を開発するプロジェクトを、小さな機会や小さな勝利にも前向きになれる小さな組織に任せた。

(3)破壊的技術の市場を探る過程で、失敗を早い段階にわずかな犠牲でとどめるよう計画を立てた。市場は、試行錯誤の繰り返しの中で形成されて行くものであると知っていた。

(4)破壊的技術に取り組むために、主流組織の資源の一部は利用するが、主流組織のプロセスや価値基準は利用しないように注意した。組織の中に、破壊的技術に適した価値基準やコスト構造を持つ違ったやり方を作り出した。

(5)破壊的技術を商品化する際は、破壊的製品を主流市場の持続的技術として売り出すのではなく、破壊的製品の特徴が評価される新しい市場を見つけるか、開拓した。


 以上、大企業がイノベーションのジレンマから逃れる方法を紹介しました。しかし、完全にイノベーションのジレンマから逃れる方法はあるのでしょうか?生物がいつかは滅びるように、企業もまたそれを避けることはできないと個人的には思います。

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